日本脳脊髄液漏出症学会 2025
会長 高橋 浩一
山王病院脳神経外科部長
この度、日本脳脊髄液漏出症学会2025を2025年3月15日、16日に、母校、東京慈恵会医科大学、大学2号館講堂にて開催させて頂きますことを大変光栄に存じますとともに、心より感謝を申し上げます。
脳脊髄液漏出症は、篠永正道先生が難治性むち打ち症にブラッドパッチが有効と報告された2000年以降、臨床症例および基礎医学的知見が確実に増えています。しかし本症には、いまだ懐疑的、批判的意見が多く聞かれ、
ブラッドパッチ治療を行う医療施設も限られています。この状況を改善するために、裾野 (base) を広げていく必要があります。
そのため診療科や脳脊髄液漏出症診療の経験差を超えて、幅広く見識を高めていくことが重要です。
また脳脊髄液漏出症は、頭痛のみならず、視覚、聴覚、高次機能障害、運動障害、不随意運動、尿失禁、味覚、そして自律神経障害がブラッドパッチにより改善する症例が存在します。
しかし、その詳細機序に関しては未解決な部分が多く、基礎医学 (base) による理解が不可欠です。本学会では基礎医学研究においてご高名な先生方によるシンポジウムを企画し、
本症のさらなる理解につなげたいと考えています。さらに反復性経頭蓋磁刺治療などの基礎研究を実臨床に反映し、脳卒中後遺症機能回復改善に著しい成果を上げ、
ご活躍中の東京慈恵会医科大学リハビリテーション科、安保雅博教授にご講演を賜ります。
そして特別講演は、元プロ野球、日本ハムファイターズの今関勝氏にお願いしています。
今関氏はプロ野球入団前に、自ら命を捨てる選択まで考えた絶望を克服し、プロ野球選手になられました。また今関氏は困難を乗り越える過程で、
スポーツ心理学を学び、自身の活躍と指導につなげています。今関氏のご経験と学識をふまえたご講演は、医療従事者に対して診療認識改善につながると同時に、病に悩む多くの方々を勇気づけると信じています。
裾野 (base) を広げ、基礎(base)を学び、さらに頂上(summit) を目指したいとの想いから本学会のテーマを
「ベースからサミット」としました。
脳脊髄液漏出症診療経験がない、もしくは理解が乏しいという方々にも是非、ご参加頂き、活発な討論ができたら幸いでございます。
令和6年5月吉日
2025年 日本脳脊髄液漏出症学会会長
山王病院脳神経外科部長
高橋 浩一