■ご挨拶
会長 師田 信人
北里大学病院脳神経外科
第41回日本二分脊椎研究会を2024年7月6日にお茶の水の東京ガーデンパレスホテルで開催します。研究会のテーマは「移行期医療と脊髄係留症候群」です。
二分脊椎研究会は、脳神経外科・整形外科・泌尿器科・小児外科・リハビリテーション科、そして看護・教育と多領域の専門各科で構成されるユニークな研究会です。
この利点を生かすべく、ここ数年にわたり二分脊椎研究会のあり方について世話人会で討議してきました。今回はこれまでの経緯を踏まえて、
各科合同で討議する場として2つのシンポジウムを予定しました。
一つはテーマそのものである「移行期医療としての二分脊椎症・脊髄係留症候群」です。
脊髄係留症候群は二分脊椎術後の患者さんの20-30%に発生するといわれていましたが、最近では経過観察が伸びるほど発生率は高くなり50%とする報告も出てきています。
脊髄係留症候群自体、各科にわたる症状をもたらしますが、脊髄係留症候群の発現時期はしばしば学童期から思春期にあたります。そのため、
移行期医療をどうするかという問題とも関わってくることになります。シンポジウムでは移行期医療への取り組みを話していただくと同時に、
各科ごとの問題点及び他科との連携について発表していただきます。
もう一つのシンポジウムは「二分脊椎:医学・医療の進歩」としました。こちらでは胎児診断・胎児手術の現状を報告してもらうとともに、
日本では遅れている葉酸摂取への取り組み・世界の動向を議論します。
どちらのシンポジウムも、政策医療との関わりもあり、厚生労働省の担当者からもお話ししていただく予定を立てています。
特別講演はChild Life Supporter (CLS)として活躍され、本人自身も二分脊椎症者である大橋 恵様にお願いしました。二分脊椎症者として、
また医療者としてここまでのあゆみ、そして若い人へのメッセージを届けていただけたらと考えています。
Luncheon seminarは脊髄係留症候群との関わりの中で二分脊椎症に合併した側弯・脊椎変形の手術を多数経験されている東京新宿メディカルセンター整形外科の小野 貴司先生です。
昨年の川上先生と同じテーマとなりますが、今回は脊髄係留症候群との関係を中心に最新の治療も含めてお話いただく予定です。
2024年は二分脊椎協会発足50周年にあたります。二分脊椎協会との合同企画の中では50年の歩みについてお話いただきます。
また、障がいに負けず頑張っている二分脊椎症の子供たちからもお話ししていただく予定です。
東京開催ということで、開催地自体の魅力には欠けるのですが、内容面でみなさんの日常診療活動に役に立つ内容の濃いものを目指したいと考えています。
また、研究会が各専門科の交流の場となり、横のつながりが深くなることを期待しています。
41回目となる今回は、新しい形での二分脊椎研究会の第一歩となります。専門各分野の皆さんに参加していただき、共に議論し学ぶことができれば幸いです。
そして多数の一般演題応募をいただき、より大勢の参加のもとに活発な議論が繰り広げられることを楽しみにしています。
第41回日本二分脊椎研究会の成功を目指し、皆様のお力添えをよろしくお願い申し上げます。
第41回日本二分脊椎研究会
会長 師田 信人